いまさら「ヒミズ」感想

 　ずっと書こうと思っていて書きそびれていた「ヒミズ」の感想を書いてしまいます。いろいろ考えてたら遅くなってしまった・・・。本当は記憶が新鮮なうちに書くのがいいんですけどね。原作の漫画は昔読んだんですが、あまり好きではありませんでした。でも、映画はまた別物なので観て良かったと思います。期待通り主演の染谷君＆ふみちゃんがとてもよかった。染谷君の冷めた目つきとか、ふみちゃん演じる茶沢さんの鬱陶しさとか上手く表現していたと思います。

 「冷たい熱帯魚」で悪徳弁護士役だった、渡辺哲さん演じるホームレスの夜野さんがとても良い人で救われました。窪塚君との掛け合いが可笑しかったです。

ボート小屋の仲間達は妖精みたいで、パーティーのシーンもせつなかったな。神楽坂さんはずっと薄着なのが心配でしたw
    冒頭で学校の先生が「君たちは世界に一つだけの花なんだ。」「がんばれ、住田！」と呼びかけるシーンがあるのですが、同じセリフが最後にまだ出てきます。同じ言葉なのに、最初は白々しくて空っぽの聞き飽きたフレーズだったものが、最後には全く違う意味に聞こえました。
震災以降「がんばれ」ということばに感じていた違和感が、少しとれたような気がしました。「がんばれ」という言葉自体が悪いのではなく、その意味をちゃんとわかって使っている場合とそうでない場合との間にものすごく大きな差があるのだと感じました。一度全てに絶望して、そこからなんとか這い上がって、やっとかすかな希望をつかんだ上での「がんばれ」。言葉の持つ意味とか力について考えさせられる映画でした。