2012年6月2日土曜日

「私が、生きる肌」感想

  アルモドバルの新作「私が、生きる肌」を観たので感想を。相変わらずのヴィヴィッドな色使い、豪華なインテリア、ファッション、ルイーズ・ブルジョアの作品、壁にシャネルのアイライナーで書き込まれた文字・・・予想以上に素晴らしかったです。冒頭の肌色のボディスーツを着てヨガをする女性は一体誰なのか?なんで監禁されているのか?ということが次第に明らかになっていくわけですが、それについては秘密にしておきます。
  マッドサイエンティスト、ロベル役のアントニオ・バンデラス。彼の行動は決して許されるようなことではないけれど、そんな息子を受け入れて見守り続ける母マリリアの存在によって、少しだけロベルの気持ちがわかるような気がしました。アルモドバル作品には、常にありのままを受け入れる母親の愛情のようなものが流れています。

マリリアはすなわちマリア(聖母)なのかもしれませんね。マリリア役のマリサ・パレデスの演技もよかったです。オール・アバウト・マイ・マザーにも出てましたね。
ロベルの作品でもあるベラが着ている花柄のドレスはドルチェ&ガッバーナ。実は最初のボディスーツもゴルチエだそうです。この花柄のドレスが置いてあるヴィンテージショップも素敵でした。そこでの何気ない会話のシーンなど伏線のはり方もパーフェクト。ラストはなんとなく予想がつきましたが、見た目をいくら変えたところで人の本質、尊厳までは損なうことはできないのだというメッセージが伝わってきました。アルモドバルらしさが詰まっているのでファンもそうでない方もぜひ!

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